By Hasan Beyaz
Photos by Ryan Coleman
ATEEZにとって、Great Oak Stageまでの道のりは年月で測るものだった。ATEEZがロンドンで初めて ライブを行ったのは2019年、Kentish Town Forumでのことだ。収容人数は約2,300人。その後、2021年と2022年に わたってWembley Arenaで3回公演を行い、2023年にはThe O2へ。さらに2025年にはThe O2で2公演を重ね、 そこにManchesterのAO Arenaが初めて加わった。ひとつひとつのステップは、キャリアの軌跡というよりも、 ゆっくりだが着実な実証の積み重ねのように感じられた。問題は実力ではなかった。必要だったのは時間だけだった。 6月28日、Hyde Parkの開けた空の下で、その時間がついに訪れた。そしてATEEZは、その一秒たりとも無駄にしなかった。
彼らは「BOUNCY (K‐HOT CHILLI PEPPERS)」で幕を開ける。様子見のウォームアップではなく、全力で 意志を叩きつけるオープニングだ。そこから息継ぎもせずに「Say My Name」「WORK」へと突入する。 その勢いは容赦なく、メッセージは即座に伝わる。これは、フェスのステージに慎重に登場するグループではない。 感謝に満ちたトークを挟んだあと、最初の意外性として飛び出すのが「Shaboom」だ。レゲエ調の跳ねるグルーヴは 次の一手としては意外だが、勢いを途切れさせることなく保ってくれる。さらに彼らが延長されたステージを 観客の視界の中へと進んでいくと、その後のダンスブレイクが序盤のハイライトになる。理由はYUNHOの動きにある。 角張っていて、鋭く、最高の意味でどこか噛み合わないように見える。その身体表現の独自性が、みんなで立つ ステージをソロのような瞬間に変える。序盤の流れは、ヒット曲も近作も同じ熱量でつなぎながら、 高揚感のある勢いを通していく。そして何よりもまず証明されるのは、ATEEZの振れ幅だ。
「ARRIBA」では、MINGIの「Mingi Wonka」キャラクターが再び姿を現す。生き生きとしていて、混沌としていて、 それでいて圧倒的に惹きつけられる。彼はおそらく、ステージ上で最もダイナミックなカリスマを放つ パフォーマーだろう。YEOSANGは、ここで披露したフラメンコ風のダンスソロで、このセットでもっとも大きな 個別歓声を勝ち取る。SEONGHWAは持ち前の精密さで自身のステージコーナーを掌握し、脱色したブロンドヘアと それに合わせた眉が、いつも以上に魅力を際立たせていた。音楽的に見ても、超高出力のパフォーマンスから もっとメロディアスな楽曲へ、つなぎ目を見せずに行き来できることは、このレベルでは当たり前ではない。 だがATEEZは、それをいとも簡単に見せてしまう。
偶然にも、このショーはゴールデンアワーの時間帯に重なった。最新のアルバムシリーズが文字通り GOLDEN HOURと名づけられているグループにとって、Hyde Parkを包む温かな琥珀色の光の下でそれを パフォーマンスするのは、どんな制作チームでも用意できない重みを持つ。つまり、そういうものなのだ。 「Lemon Drop」は、熱、夏の夜、夜明けまで起きていること、そして目の前のたったひとりに世界が縮んでいく ことを歌う曲だが、ステージの周囲の空がまさにその歌詞どおりのことをしていると、響き方も変わる。 Hyde Parkの木々の向こうに太陽が沈みゆく中でそれを歌うATEEZは、まさに自分たちの瞬間の中を生きている グループそのものだった。大掛かりなヘッドラインツアーの装置的な演出からは削ぎ落とされたこのステージは、 楽曲と向き合う別の種類の親密さを強いる。彼らはそれをひるむことなく受け止めた。
「Ice on My Teeth」は、ライブパフォーマンスが曲に何をもたらすかを示すケーススタディだ。MINGIはその場で 自身のパートを作り替え、フローを変え、レコーディング版とは違う方向へと届ける。その結果、単なる再現ではなく、 本当に新しい曲のように感じられる。パフォーマンスと再現の違いであり、MINGIはその差を本能的に理解している。
そしてJONGHOがいる。夜を通して彼は、はっきり言って、この世代で最も優れたボーカリストのひとりだ。 そう聞くと大げさに思えるかもしれないが、実際に生で聴けば、それが誇張ではないとわかる。日曜の夕方、 ロンドンの公園で彼の声が生み出すものは、ほとんどの歌手が整ったスタジオでも出せないものだ。 彼のボーカルをその場で体感してこそ、初めてわかることがある。
バックで鳴る生バンドが、セット全体にさらに別の層を加えている。とりわけ「In Your Fantasy」は、 まるで別の曲のように聴こえてくる。別物になったわけではないが、スタジオ版では十分に許されていない 呼吸の余地が与えられているのだ。それは、すでに知っているものをただなぞるのではなく、ここにいる 観客へのご褒美になっている。
ショーのわずか2日前にリリースされた「BAD」は、セット中盤で初めてのライブ披露として登場する。 より安全な場に取っておくのではなく、BST Hyde Parkに持ち込んだのだ。YEOSANGがその瞬間をつかみ取る。 短い出番だが、ステージは完全に彼のものだった。
セット中盤で、空気は一変して落ち着く。トロピカルでやわらかな輪郭の「WAVE」が観客をやさしく 引き込んだあと、「Choose」「Now this house ain't a home」「Enough」が続き、もう少し踏み込んだ感情を 求めてくる。これらは、日曜の夕方に公園で立っている観客に向けた、いかにもフェス向きとは言えない楽曲だ。 それでも受け止められたという事実が、7年にわたるロンドン公演を通じてATEEZがこの観客と築いてきた関係を 何よりも物語っている。
「Adrenaline」はギアが一段上がるように炸裂し、高出力で、身体的にも容赦がない。そこから 「Fireworks (I'm the One)」がさらに押し進める。「Guerrilla」で本編は締めくくられ、SANはその導入で、 荒々しくハードメタルじみた声を落としながらこう言う。「2026 ATEEZ in London – we'll never stop, just look forward. It's time to break the wall. OK Captain, kick that shit, let's go!」これ以上ないほど直接的に 気分を高める言葉だ。ステージと観客のあいだに残っていた距離は、その言葉と最初のビートが落ちるまでの 一瞬で消え去る。「Guerrilla」はもともと、こうした瞬間のために作られてきた曲だ。そして今夜、その瞬間が ぴたりと噛み合った。HONGJOONGもまた、あらゆる場面でそのCaptainの肩書きにふさわしい存在感を見せる。 彼のステージの持ち方には、単なるパフォーマンスを超えた何かがある。真のアーティストとしてのオーラがあるのだ。 だが、涙を誘うバラードから、数曲のあいだで引き裂かれるようなメタルポップへと移っていくその振れ幅こそ、 ATEEZのレパートリーが本当に何を内包しているのか、そしてそれを破綻なくやってのけられるアクトがどれほど 少ないのかを、最も明確に示している。
「Crazy Form」はセットに入っていない。開演前の数時間、客席のファンたちは互いに振付をなぞっていたが、 それだけでもこの曲がどれほどライブでの期待値に深く組み込まれているかがわかる。その不在はやはり目立つ。 とはいえ、周囲を満たしていたものを考えれば、実質的な不満はそのくらいだった。
アンコールは「The Real」とWOOYOUNGのものだった。彼の入るべき箇所、つまり客席のATINYなら誰もが そらで覚えている「춤 들어가유」を、彼は「London, yaho~」に差し替える。あわせて両手の指を下に向ける gyaru風のジェスチャーも添え、2026年に韓国のSNSを席巻している「Geoje, yaho」ミームを直接参照しつつ、 南慶尚道の海沿いの都市をEnglandのHyde Parkへと置き換えてみせた。ばかばかしくて、あたたかくて、 まったく気負いのない瞬間だ。直前の、SANが「Guerrilla」前に荒々しい声でハードメタルの強度を放っていた 場面との対比は、最高の意味でほとんどコメディのようですらある。WOOYOUNGの「yaho」は、そのグループの もう片側なのだ。ATEEZがその両方を、どちらも仮面に見せることなく抱えられるという二面性こそが、 彼らがここに立っている理由を何よりもよく説明している。
ATEEZはGreat Oak Stageに立ち、BST Hyde Parkを制するにふさわしいパフォーマンスを見せた。 Kentish Town Forumからここまでの会場の進化は、まさにこの瞬間に向かって積み上がってきた物語だ。 ATEEZはBST Hyde Parkでヘッドライナーを務めた3組目のK-popアクトとなった。先にヘッドライナーを飾り、 その後ヨーロッパのスタジアム公演へと進んだBLACKPINK、Stray Kidsに続く形だ。この流れが続くなら、 Great Oak Stageは将来、ATEEZにとってさらに大きな場所へ向かう前の最後の停留所として振り返られるかもしれない。